diary

2007.05.29 [Tue]
スティングとトム・ダウド

DVDを2本続けて観ました。

 

 

 

一つ目は、『スティング』(原題:The Sting)という1973年公開の映画。(写真:左)

『明日に向かって撃て!』でもお馴染みのポール・ニューマンと

ロバート・レッドフォードが再び共演した、

まさに「痛快」という言葉がピッタリの作品です。

仲間を殺された主人公フッカー(詐欺師)が、伝説のペテン師・ゴンドーフを誘い、

マフィアのボスに復讐を誓う、というストーリー。

もう、これがとにかく面白い。 最後のシーンなんて特に、

映画史に残る名シーンだと思います。 最近観た映画の中で、一番のヒットでした。

フッカー役のポール・ニューマンが出演した作品、

『大統領の陰謀』のDVDも既にゲットしてあるので、 また次、時間ができたら観よう。

 

 

そしてもう一つは、 『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』という、

2003年公開の映画。(写真:右)

これも非常に興味深い作品でした。

トム・ダウドという人は、タイトルの通り、 Derek & The Dominos(※注1)が

1970年に発表した名作アルバム、 "Layla"(邦題:いとしのレイラ)の

プロデューサー兼エンジニアです。

(※注1:ギターの神様として知られるエリック・クラプトンが当時結成していたバンド)

 

 

 

当時の英米のロック・ミュージシャン達は、

60年代後半に一大ムーヴメントとなったサイケデリック志向から徐々に脱却し、

もう一度「原点に立ち返ろう!」という動きが高まっていました。

このアルバムは、その当時のロック・シーンにおいて非常に重要なキーワードとなった

「アメリカ南部志向」、「スワンプ・ロック」、「サザン・ロック」等を象徴する、

代表的な作品です。 たまたまこの映画のタイトルには(日本人に分かり易いように)、

『いとしのレイラ』が付いていますが、決してそれだけではなく、

レイ・チャールズやアレサ・フランクリン、ロッド・スチュワート、

オールマン・ブラザーズ・バンド等、

とにかくありとあらゆるジャンルのアーティストを 手掛けた、

伝説的なエンジニアなのです!

ちなみに、タイトルにある「ミックス」とは、 録音された各楽器のバランスを整えたり、

音を加工して色付けをしたり、 迫力を出したりする作業の事です。

 

とはいえ、エンジニアという職業は、裏方というか、

なかなかスポットの当たらない職業なので、一般の方々にはピンと来ないかもしれません。

しかし僕達ミュージシャンにとっては、自分達の作品を作る・表現する上で、

本当に本当に重要な存在なんです。

エンジニアが変わるだけで、作品の雰囲気もガラッと変わってしまいますので、

まさにミュージシャンとエンジニアは一心同体でなければならないのです。

 

トム・ダウドという人は、ポピュラー・ミュージック(POPS)が隆盛を極めた

1950〜70年代において、革命的な技法と斬新なアイデアによって、

「レコーディング・エンジニア」という職業を確立した、偉大な人物なんです。

少々専門的な話をしますが、8トラックのマルチ・レコーダーを開発したのは、

なんとトム・ダウドなんです。

それだけでも、音楽界の発展に貢献した度合いはハンパないのに・・・!

 

この映画も、興味がある人には是非観て欲しいな。

「レコーディングって、こんな感じでやってるんや!」

みたいな発見もあるかもしれません。

 

♪今日のBGM "白日"/Grapevine